あきれるよ! 新党乱立? 政党要件? Ⅲ

  助成金交付と受給の手順にすぎない「政党要件」

 言うまでもなく「政権交代」以後の「新党乱立」は、沈没しつつある自民党丸からネズミのように逃げ出して行く姿にほかならない。その前触れは「政権交代」以前から見え隠れしていた。
 「みんなの党」「たちあがれ日本」「日本創新党」や「新党改革」はもちろん、やや趣のちがうように見えるローカルパーティ「大阪維新の会」も、自民党政治の行き詰まり、政権からの落伍を契機にした「旗挙げ」であることにかわりはない。その姿は前回述べた「私的な徒党」を想起させる。
 ところで、新党のたちあげを企てる者達はみな「政党要件」をととのえることに腐心する。マスコミもここに注目して報道する。
 ここでいう「政党要件」とは、①国会議員5人以上、②国会議員1人以上で、直近の国政選挙において2%以上の得票を得ていることのどちらかを満たすことだとされる。こんな荒っぽい、粗野な要件を果たして、本当の意味で「政党要件」と言えるのか。
 憲法は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」(第19条)と定め、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」(第21条)と定めており、一般法として「政党」の要件を定めることなど認めていない。国会議員の数や国政選挙での得票率を「政党要件」とするのは、行政上、手続き上の方便に過ぎないのである。
 何のための方便なのか。総務省のホームページで「政党 要件」で検索してみるとわかることだがヒットするのはことごとく「政党交付金」に関することばかりである。政党助成金を得るための手続きとして、上記2つの「要件」が求められているわけだ。この2つの「要件」を満たしていても「政党交付金の公布を受けるための法人格を取得していなければ」、つまり、交付金申請のための手続きをしていなければ(日本共産党のように)「政党助成法」上は政党として扱われないことになる。
 法律で「政党」を明確に定義しているのは「政治資金規制法」である。ここでは「政治団体」の一つとして「政党」を位置づけている。つまり、政党として扱われなくても、政治資金団体、その他の政治団体、国会議員関係政治団体など、「政治団体」のすべてが政治資金規正法の適用を受けるという趣旨だ。
 公職選挙法の「政党」に関する規定は、小選挙区制の導入(衆議院)や比例代表制の導入(衆議院、参議院)にあたって、届出政党の候補者と個人候補を区別(時に差別)するために定めたものにすぎない。これは、如何に著名であっても個人候補は「政党」所属でないゆえに有権者の目に触れる機会が極端に制限され、如何に弱小な「政党」であっても著名な候補者さえ擁立できれば局面を有利に運べる仕組みである。
 つまるところ、行政手続き上「政党要件」にこだわる本音は「政党交付金」を受け取れる党になれるかどうかというだけの低劣・些末なこだわりなのである。それは「政党助成法」という法律に基づいて受け取る金なのに「助成金」と言わず、「交付金」などと言い換えていることにはっきり現れている。
 つけくわえていえば「政党」の届出には当然のことながら「名称、事務所の所在地、代表者・会計責任者」などが必要とされるが、肝腎の「綱領その他の目的、基本政策、党則、規約」などは「添付文書」という扱いにすぎない。憲法原則からみて、行政機関が政党の綱領や基本政策、党則などの内容に干渉できず、「添付文書」以上の扱いはできないからである。
 憲法の原則からみて「綱領、基本政策、党則・規約」に干渉することのできない「政党」に、些末な「要件」を設けて「助成金」の交付、受領を制度化することは大いに疑義がある。

☆ 筆者がこの一文を記そうとした一昨日から中一日おいて、今日は「ますぞえ新党という名称は使えない」「助成金目当ての新党だ」との批判が噴出していると報道されている。当然のことだ。問題はなぜ「新党乱立」という現象がおこるのか。それは深く国民の願いに即し、国民に根付いた新党なのか。その本質を突いた分析や検証、報道は今日のマスコミに望むべくもない。この現状を深く危惧しつつ、この項は終える。
 


 
 
by itya-tyan | 2010-04-24 15:37 | ちょいまち草 | Trackback | Comments(0)
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