軽味の川柳 2月

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☆ 「関東煮」の句には解説が必要かもしれない。
 * 先ず「関東煮」。広辞苑には「関東焚」とあるが、俳句歳時記(角川)には「関東煮」とある。どちらも「かんとうだき」と読むことになっているが、大阪(関西?)では「かんとだき」と発音する。
 広辞苑「関東焚」の項には「関西で、関東地方の煮込みおでんのこと。関東煮」とある。が、説明があっさりし過ぎて愛想がない。
 俳句歳時記「関東煮」の項は少し長いが、ちょっと面白い。
 見出しは、「冬・おでん、関東煮<くわんとうだき>」で、「豆腐を串に刺して味噌をつけてあぶった味噌田楽の田に『お』をつけたもので、後にその変形である煮込み田楽をおでんというようになった。江戸で作られたらしく、関西では『関東煮』と称する。芋・豆腐・蒟蒻(こんにゃく)・はんぺん・竹輪などの種を煮込む。かつては田楽には菜飯、おでんには茶飯がつきものとされていた」とある。
 ただし、大阪人は「おでん」と「かんとだき」を使い分けることが多い。「おでん」は出汁の味を愉しみ、少し上品。「かんとだき」は文字どおりぐつぐつ煮込む。だから、醤油がしみこんだ茶色っぽい色合いになることもしばしば…。「かんとだき」は庶民の味だ。
 * 次に「コロ」。本当は「ころ」で良いのだが、「酒ころ」と読むと意味が通じない。句の中に「酒、ころ」と書くわけにもいかないので「コロ」と書いた。
 広辞苑には「ころ(鯨の皮)」の見出しで「鯨の皮を加熱処理して脂肪分を除き、乾燥させた調理素材。水で戻しておでんや煮物などに用いる」とある。
 要するに鯨油をとった後の油カスのようなものだ。鯨油などこの頃はトンとお目にかからない。が、子どもの頃、学校給食で食パンに塗る「鯨油マーガリン」が出てきたことや、香りの良くない「鯨油石鹸」などがあったことを思い出す。だから「ころ」は安かった。
 部位、鯨種によってザクザクした食感のものやニチャニチャした食感のものがあった。好みによるだろうが、ボクはザクザクした「ころ」が好きだった。
 ご時世かとは思うが、昔は安物だった「鯨」にまつわる食品は今や「高嶺の花」になってしまった。くどくど解説したのは懐かしさ半分、知らない人たちも増えているだろうとの思い半分だからだ。

 * 厳寒の夕暮れ、辛子をきかせた「関東煮(かんとだき)」をふーふー吹きながら一杯やるのは呑兵衛にとって至福の時だ。コロがあるとなおさらだがなぁ…。

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