3月19日、今日は何の日?

 今朝のNHKラジオ「今日は何の日」のコーナーで、「治安維持法が成立した日」とのひと言があったそうです。率直に言って「おや?NHKにしては珍しいことを言うなぁ」と思いました。
 というわけで、「治安維持法の成立」にまつわる話を書いておこうと思います。
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 一九二五年二月一八日に政府から衆議院に提出された治安維持法案は、翌一八日緊急上程のうえ、二三日から七回の委員会審議をおこない、三月七日の本会議で「政体」変革を削除した修正案が可決された。貴族院では三月一一日の上程後、一三日から四回の委員会審議を経て、早くも一九日の本会議で衆議院修正案を可決、ここに治安維持法は成立した。少数の反対論者の質疑はかなり執劫だったとはいえ、これほどの重要法案を両院あわせてわずか一ヵ月間で通過させてしまったのである。ある新聞は「愈々委員会が開始された場合には僅に一二の修正意見を容れ申し訳的に反対論者の面目を立てる外議論の沸騰する機会を予へざるうちに一潟千里に議了する下心であるらしい」(「東京日日新聞」二月二〇日付)と観測するが、実際にもこのとおりになる。議会審議の経過を新聞報道で追うと、「与党内に早くも骨抜き運動」(『萬朝報」二月二一日付)、「政府が修正せねば与党は握り潰す作戦」(報知新開)二月二五日付』とヨタヨタの法案で、政府も答弁に窮する場面が多々ありながらも、結局は「満天下の非難をよそに、生れ出づる悪法案多数の力でひた押しに遂に衆院を通過す」(『東京日日新聞』三月八日付)るのである。
 上記の図と文章は『治安維持法関係資料集』(全4巻、荻野富士夫編、新日本出版社、1996年)に記載されているものですが、ボクは持っていませんでした。あれこれ探ってみると小樽商科大学学術成果コレクション(Barrel)解説 : 治安維持法成立・「改正」史、荻野富士夫というコーナーにアップされていることが分かりました。膨大な資料の中からそのポイントだけを引用したものです。
 PCで全文を読むのは少しつらいものがありますが、全文を読めるというのは凄いことだと思います。取りあえず、眺めるだけでもどうですか?(クリック)
 上記の図でお分かりのとおり、最初の治安維持法は1925年3月19日に成立し、4月22日公布、5月12日に施行されたのでした。
 興味深いのは当時の各紙が「満天下の非難をよそに」「議論の沸騰する機会を予え(あたえ)ざるうちに」「多数の力でひた押しに」「一瀉千里に議了」してしまったことを鋭く告発していることです。
 翻って、今日のマスコミはこれほど明確に悪法を強行する政府・与党を告発する力を持ち合わせているのでしょうか?

 ともあれ、最近「治安維持法」について深い関わりを持ち始めた小生として、多くの研究や努力のある中ですが、折に触れこの問題をとりあげ自分なりのメモをつくっていきたいと思います。