6 議会請願

 議会請願は誰でもできるが、紹介議員が必要

 私たちが普段よく目にする要求署名の多くは国会や地方議会にあてた請願書です。そこで地方自治法にそって、請願書の取り扱いをめぐるいくつかの点を確認しておきましょう。
 まず、請願書の提出者について「日本国民たると外国人たるとを問わず」、「当該普通地方公共団体の住民たると否とを問わない」(行政実例、以下、「行実」と略す)とされており、誰でも、どの自治体にでも、請願書の提出ができます。請願書は願意(請願の趣旨)や提出者の氏名、住所(または居所)を明記して、当該の議会に、文書で、提出しなければなりません。ただし、国会でも地方議会でも請願書の提出には「議員の紹介」(国会法第79条・地方自治法第124条)が必要です。これを一般に「紹介議員」と呼んでいます。
 紹介議員は当然のことながら「請願の内容に賛意を表明するものでなければ、紹介すべきではない」(行実)とされています。この紹介議員は一人でもよく、「二人以上を必要とする旨規定することは第124条の趣旨に反する」(行実)ことになります。とはいえ、請願は議会において「採択(請願書を議決すること)」されることをめざすものですから、できるだけ多くの署名を集め、できるだけ多くの議員・会派に紹介議員となってもらうよう準備することが大切です。議会で請願書に賛成者が少ない(反対者が多い)とき、請願は「不採択(請願書を否決すること)」となります。請願書は議案の一つですから、本会議にはかられ、議決されます。議決の基本は採択か、不採択か、どちらかであるべきです。 議会で採択された請願は、関係機関に送付され、議会は「その請願の処理の経過及び結果の報告を請求すること」(地方自治法第125条)ができます。
 しかし、時によって議員や会派、議会の思惑やテクニックによって「趣旨採択」となることがあります。これはバラ色とも、灰色ともつかないものですから、もし趣旨採択とするときは、議員や議会には請願項目や願意のどの項目・趣旨が取り入れられ、どの項目・趣旨が取り入れられないのか、明らかにする責任があるというべきでしょう。