23 府特別顧問

 粗野で品格のない「革命論」

 橋下知事は2月に小野寺嗣夫氏(芸能事務所タイタン社員)を広報特別顧問に起用、4月には「政策アドバイザー」に安藤忠雄(建築家)、上山信一(慶応大教授)、橋爪紳也(大阪府大特別教授)の各氏、「中国ビジネス分野担当」で村尾龍雄氏(弁護士・キャストコンサルティング取締役)らを特別顧問に、山中俊之氏(日本総研主任研究員)を「人事制度担当」の特別参与に委嘱しました(4月からの5氏については設置・委嘱が報道発表資料で公開、小野寺氏については発表資料無し)。委嘱された各氏の業績や言動をたどると、橋下知事の政策選択や言動に深い影を落としていることがよくわかります。
 中でも上山信一氏の「自治体改革の突破口」という連載ブログは非常に「刺激的(?)」です。同氏は「1100億円圧縮の3つの効果」を評価します。①止血効果ー借金自己増殖の悪循環を断つ。②目覚まし時計効果ー府民の危機意識を喚起。ここでは「1100億円をめぐる大騒動で多くの府民がとうとう目覚めた」と「大騒動」扱いです。③虫干し効果ー既得権益の存在を白日のもとに。ここでは「私学補助金、府独自の医療補助、その他障がい者や同和行政関連、医師会・オーケストラなどへの団体補助、警察予算などの一切が棚卸しされた」、「既得権益の存在が明らかにされた」、「補助金をもらう私学の経営者などはもはや北新地で豪遊できなくなるだろう」とまで書きます。補助金削減に悩み、苦しむ府民と「豪遊する経営者」を同列に「既得権益」とは何事でしょうか。
 上山氏は「官民さまざまな組織の改革に『軍師』として関わってきた。そこから得た教訓は『改革の本質は権力闘争であり、内実は革命である』」と述べ、「改革の本質はシンプルだ。革命と同じく最初に前政権の悪事を暴き、権威を失墜させる。…外堀を埋め彼らの自然崩壊を待つ。同時に政府軍(各部局)に忠誠を誓わせ人事権を行使しながら徐々に実権を掌握する」とも書いています。こんなに粗野で品格のない「革命論」を振りかざす「軍師」気取りの人物を「特別顧問」に据えるとは由々しき事態だというほかありません。(A)