31 普通選挙・平等選挙

 幾多の変遷へて確立 

 このシリーズの2回目に「投票すること、選挙活動に参加すること、立候補することなどは参政権行使の最たるもの、(政治の)主人公としての権利行使の真髄」と書きました。解散・総選挙の行方が注目される今、あらためて選挙制度のいくつかについて考えてみましょう。
 先ず、選挙制度の5原則です。今日の日本では、二十歳以上の国民すべてに選挙権のある「普通選挙」、性別や社会的身分によって差別されない「平等選挙」、有権者自身の投票による「直接選挙」、誰にも干渉されずに投票できる「自由選挙」、誰がどの候補者・党に投票したかわからないようにする「秘密投票」が原則とされています。このような原則が確立されるまでには、幾多の変遷があったことはよく知られているところです。
 たとえば、1890(明治33)年の第一回衆議院選挙は直接国税15円以上を納める25歳以上の男子にしか選挙権のない「制限選挙」で、有権者45・1万人、人口比僅かに1・1%でした。税務大学校(国税庁)の資料によれば、当時所得税は導入されたばかり(1887・明治27年)でしたから、税収にしめる所得税の割合は1・5%にすぎず、地租が59・2%も占めていたのですから、有権者の圧倒的多数は地主だったのです。1925(大正14)年には納税条件が廃止され、いわゆる「普通選挙」となりましたが、選挙権者は男子にかぎったうえ、悪名高い「治安維持法」とセットでした。
 女性の選挙権獲得は1945年で、本当の意味での「普通選挙・平等選挙」は戦後にもちこされたのです。但し、被選挙権・立候補資格には年齢制限があり、衆議院議員、都道府県・市町村議会議員、市町村長は25歳以上、参議院議員と都道府県知事は30歳以上となっています。
 なお、日本共産党は「18歳以上の人に選挙権を」と主張していますが、選挙制度のある189カ国のうち9割にあたる166カ国(国会図書館調査)、「サミット参加国の日本以外はすべて(政府答弁)」が「18歳選挙権」を認めており、これが世界の大勢です。