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 百害あって一利なし

 前回、「三位一体改革」、「新型交付税」が地方財政を圧迫していることに触れました。今回からしばらく続けて地方財政のあれこれについて考えてみましょう。
 先ず、憲法は地方公共団体が「地方自治の本旨に基づいて」組織及び運営されなければならないこと(92条)や、財産を管理し、事務を処理し、「行政を執行する権能を有する」こと(94条)を明記し、そのために「法律の範囲内」での条例制定権を認めています。つまり、憲法は国に「住民自治・団体自治」を保障し、行政執行の円滑を保障する責任を果たすよう求めているのです。
 しかし、小泉構造改革のもとで急速に台頭してきた「地方分権」の論理は真の地方自治確立の方向から大きくそれています。その典型的な一例が「三位一体改革」であり、「新型交付税」の導入だと言えるでしょう。
 「三位一体」とはそもそもキリスト教の教義から来ていますが、小泉改革のそれはそれほど気高いものではありません。要は「聖域無き構造改革」の名のもとに国から地方への財政支出を削り、自治体と住民サービスを切り捨てるため、「国庫負担金の廃止・縮減」、「地方交付税の縮小」、「地方への税源移譲」の三つを一体的にすすめるというものでした。こうして進められた「改革」で04年から06年の間に国庫補助・負担金4・7兆円、地方交付税5・1兆円削減、税源移譲3兆円となり、 地方財源はぐんと減らされる結果となったのです。
 「地方交付税」は国から地方に「交付」されてはいますが、他の交付金や補助金とは違い「税」と名付けられている意味を見落としてはなりません。それは国が徴収している所得税や酒税、法人税、消費税、たばこ税の一定割合は地方公共団体の固有・共有の財源であり、国が「便宜的に一括徴収している地方税」として地方の財源保障、財政調整機能を持っています。ところが、国はその算定方法の「簡素化」を口実に「人口と面積を基本」とする手荒な措置を取ったため、自治体全体の3割が交付税配分額が減ることになってしまったのです。
 こうして、今では三位一体改革は「百害あって一利なし」、新型交付税は「地方交付税制度の解体」とまで言われているのです。
 自公の悪政正して地方に活路を

 大阪府は府内各市町村の07年度決算の全体的な傾向を「平成19年度市町村決算見込みの概要(大阪市、堺市を除く)」にまとめています。
 先ず、歳入総額は1兆6296億6千万円、歳出総額は1兆6216億2百万円。翌年へ繰り越すべき財源を差し引いた「実質収支」は34億6千7百万円で、黒字幅は減ったものの4年連続の黒字です。しかし、07年度の実質収支から06年度の実質収支を差し引いた「単年度収支」は26億7千万円の悪化です。
 赤字団体は忠岡町が黒字に転じたことにより、4から3に1団体減りました。赤字の団体は守口、藤井寺、四条畷の三市で、赤字総額は48億8千2百万円です。黒字団体は28市10町村ですが、その総額は僅かに83億4千9百万円にすぎません。
 「経常収支比率」は使途を特定されない「経常一般財源(等)」にしめる「経常経費(義務的性格の強い人件費、扶助費、公債費など)」の割合で示され、数値が高いほど硬直的な財政状況とみなされますが、全体では06年度の96・0%から98・3%と2・3ポイント悪化。100%以上の団体は6団体も増えて17団体にのぼっています。
 これは何を意味するのでしょうか。守口市は「財政健全化計画(素案)」の中で「長期にわたる景気の低迷や人口減少などにより、市税収入は伸び悩む一方、(生活保護費などの)扶助費の増嵩から非常に苦しい行財政運営を強いられ」、「財政運営の健全化に鋭意取り組んできた」が、国に「地方負担を伴う制度改正や新型交付税の導入などが行われ、これまでの努力が飲み込まれる結果とな(った)」、「(これまでにも事務事業の)大胆な見直しを行ったことから、これらを更に見直したとしても、大幅な削減効果は見込めない状況(だ)」と苦衷を述べています。
 ひとり守口市だけではありません。国からの「三位一体改革」押しつけのもとで、どの市町村も住民サービスを削り、住民負担を増やし、職員削減・給与ダウンなど「財政健全化」を推し進めてきましたが、もはや「限界」です。「乾いたタオルもまだ絞れる」とばかりに締めつける自民・公明の悪政の大本を正す以外に、地方自治体の活路を開く道はないと言うべきでしょう。
 投票制度のいろいろ

 解散含みの政局を念頭に三回にわたって選挙にまつわる用語を解説してきましたが、麻生首相は解散もできず、支持率回復もままならぬという深刻なジレンマに陥っているようです。解散・政局優先で、まともな国会審議をおろそかにしてきた民主党も国民の批判を免れることはできません。「解散の火種は消えたわけではない。年末解散や一月解散が現実味を帯びる。それを見送っても4月、7月と解散日程は次々に浮上。与野党ともに常に臨戦態勢におかれる(産経)」というわけですから、国民・有権者としてはその真価を大いに発揮できる時でもあります。
 さて、今回は「投票」の色々な形態について見ておきましょう。一般的には有権者は選挙期日の当日(投票日)に、選挙管理委員会から送付される「整理券」を投票所に持参し、投票用紙を受け取って、「投票」することは周知のことです。衆議院選挙では候補者名を書いて投票する小選挙区の選挙と政党名を書いて投票する比例代表選挙と二つの投票を行います。
 その際、視覚に障害のある人は、申し出れば「点字投票用紙」が交付され「点字投票」ができます。病気やけがなどで字が書けない人は、申し出ると二人の補助者が指定され、「代理投票」ができます。誰に投票したかの秘密は厳守されます。なお、視覚に障害のある人は府の選挙管理委員会に申し込めば、選挙公報の「音声テープ版」・「点字版」・「音声コード付拡大文字版」などを無料で受け取ることができます。
 投票日に仕事や用事で投票に行けない場合、市区町村の選挙管理委員会で投票をすませておく「期日前投票」や、選挙管理委員会の指定を受けた病院や老人ホーム、身体障害者施設に入所中の人がその施設で投票する「不在者投票」という制度もあります。
 また、国政選挙では、指定船舶に乗船して、日本国外の区域を航海している船員には「洋上投票」、国外に居住している人には管轄の領事館を経由して投票する「在外投票」ができます。ただし、この二つはあらかじめ市区町村の選挙管理委員会や領事館に「登録」しておくことが必要です。