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 昨日「特定秘密保護法案」が衆議院の特別委員会や本会議で強行採決されました。
 ボクも提出し、9割方が反対していたパブリックコメントには答えらしい答えがありません。腹立たしいかぎりです。
 つけても、11月19日付けの「朝日新聞」声欄に掲載されていた投書が思い起こされます。
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 「立ち入り禁止」の看板に気づかず、写生をしていた9歳の少年を「下の左の奥歯が折れて血が流れる」ほど「激しい取り調べ」をし、「数日間」も「拘束」したというのです。
 恐らく最年少の「治安維持法弾圧犠牲者」と言えるのではないでしょうか。
 「特定秘密保護法案」にはこんな残虐なことが再現される「恐怖」がひそんでいることは疑いありません。
 なぜなら「特定」の「秘密」であるなら「個別に」、「特定して」法律化されるべきだし、そういう法律は現にいくつもあるのです。
 今回は「特定秘密保護」という名のもとに、何が秘密であるかを概念(カテゴリー)だけを示して、具体的事実を「特定」していないのですから…。
 
 ちょっと図式的かも知れませんが、こんなものを作ってみました。
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 国や行政機関の長が決める恣意的な「秘密」に基づいて幾つもの禁止事項が具体化されるでしょう。
 国民は「禁止のトライアングル」に縛りつけられ、彼らの思うとおりにしか生きてゆけなくなってしまいます。
 ボクは自由と民主主義、平和のために、文字通り「今日から明日へあさってへ」生き抜いていきたいと、決意を新たにしています。
 藤原紀香さんが、特定秘密保護法案についての意見をブログにアップしておられることは知っていましたが、あえてボクのブログにはアップしませんでした。
 彼女が、国民の一人として発言されるのは当然だと思っていたからです。
 先ず、そのブログを読んで頂きたいと思います。(クリック)

 その後、2か月余が過ぎて「しんぶん赤旗・日曜版」に登場されました。驚きつつも、なるほどなぁ…と紀香さんを見直した次第です。
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    *クリックして拡大。適当なサイズに直してお読みください*

 ところがこの記事について、産経新聞が「ネトウヨまがい」の報道をしていました。本文はバカらしくてアップしませんが、この報道を諫めるかのような報道があったので、紹介しておきます。
 「赤旗」1面登場の藤原紀香が怒る 産経「共産党『応援団』」の指摘に(クリック)

 紀香さん自身もブログに書いておられます。
 私のありのまま、素直な気持ち。(クリック)
 *このままでは、最新のカキコの欄に飛ぶようです。11月22日アップの欄まで移動してください*

 マザーテレサの言葉を引用しつつ
 いまの私には崇高すぎる言葉だけど、信じることを前向きにやり続ける、それは出来る気がするから頑張るね(^-^)☆
 皆さん、応援よろしくお願いします!

 と書かれているではないか!

 ボクがこの一件を、ここにアップしようと考えたゆえんです。
 今日はフェイスブックにアップされた知人の書き込みにとても感動しました。
 書き出しにこうありました。

 息子のブログです。
 今日は牛の出産に立ち会ったとか…
 いろいろ考えさせられました。

 で、そのブログがこれです。
 牛の出産 子宮捻転に双子に逆子・・・・(クリック)

 ボクはとても感動しました。で、こんなコメントを送りました。
 凄いですね!涙がでそうです。母牛のがんばり、息子さんの書き方、親方や獣医さんの沈着さ!
子宮捻転、逆子、双子、こんなドラマがあちこちにあるのでしょうねぇ!


 返信のコメントがありました。
 ありがとうございます。息子に伝えました。

 さらにコメントしました。
 ボクは労働者の家庭で育ち、農業のことなどトンと分からぬ20代前半に「農村オルグ」なんてことをしていたのです。苦しかったけれど、思い出深い経験です。で、一度だけ、ある酪農家のお宅で牛の出産に立ち会いました。生まれて間もない仔ウシが足をブルブル震わせながら起ちあがる姿には本当に感動しました。そんなことを思い出すと、ヒロくんの書きぶりにはウルウルしてしまうのです。
結びの言葉も迫力があってとてもいい。ボクのブログに転載させてもらいます。


 また、返信がありました。
 ありがとうございます。吃音があり、口ではうまくしゃべれませんが、ブログを評価して頂いて、本人はとても喜んでいます♪

 息子さんのことは初めて知りました。が、どう考えても彼のブログの結びの言葉のなかから、悪戦苦闘する酪農をはじめ、農業や漁業に従事する人々の姿が目に浮かび、TPPなんてとんでもないという思いが募るのです。
 ・・・現在、牛乳と水は殆んど値段が同じと言う時代です。
水は何もしなくても取れますが牛乳は、こういう牛達が居るから飲めるんだって事をどうか、あなたの心の奥底でもいいから覚えていて欲しいです。

 9月末に「無言館」を訪れてから、早1ヶ月余がたちました。ボクはあまり記念写真は撮らないのですが、とても気になる写真を撮ってきました。ず〜っとPCのデスクトップに貼りつけて眺めていたのですが、やっぱり意を決してここに記すことにします。
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 「何だかよく分からないが、曰くありげなモニュメントだなぁ」と思いながら撮った写真です。
 
右の上の方に、赤い汚れがあります。決して美的とは言えません。b0142158_17282322.jpg
               裏に回って埋め込まれた一文を読んで、憤りをおさえかねました。














 絵筆の椅子(ベンチ)と題された文面です。

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椅子の背を飾る90本の絵筆は、現在画壇で活躍中の画家、美術学校で勉強している画学生さんの絵筆です。壁面を汚している赤いペンキは、2005年6月18日、実際に「無言館」の慰霊碑にペンキがかけられた事件を「復元」しました。「無言館」が多様な意見、見方のなかにある美術館であることを忘れないためです。




 当時のことは次のように報道されていました。
 戦没画学生慰霊碑にペンキ 長野・上田の「無言館」

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 18日午前8時45分ごろ、長野県上田市古安曽の美術館「無言館」の前庭にある戦没画学生慰霊碑「記憶のパレット」に赤いペンキがかけられているのを同館職員が見つけ、上田署に通報した。同署は悪質ないたずらとみて、器物損壊容疑で調べている。
 同館などによると、慰霊碑は縦約3メートル、横約4メートルの黒御影石製。ペンキは慰霊碑の中央を上から下に、約1・5メートルの幅でかけられていた。17日夕までは異常なかったという。前庭は夜間の出入りが自由だった。  
 慰霊碑には、第2次世界大戦で亡くなった画学生403人の名前と、戦時中の東京美術学校の授業風景が刻まれている。全国の遺族や関係者の寄付などで建てられ、昨年6月に除幕した。
              2005/06/18 09:16 【共同通信】

 他の報道には、館主の窪島誠一郎氏が「無言館について様々な考え方やとらえ方があるのは当然だが、それをこうした手段でしか表現できないとしたら、あまりに悲しいことです」と語ったとあります。

 「絵筆の碑」、正式には「絵筆の椅子(ベンチ)」と名づけられたこのモニュメントは「多様な意見や見方のなかにある」こと、「様々な考え方やとらえ方がある」ことを率直に受けとめつつも、冷静で抑制的に、しかし毅然とした抗議の意志を表明するモニュメントだったのです。
 碑の裏にはこんな言葉が彫り込んでありました。
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  *あえて注釈はしません。
  *画像はクリックで拡大できます。

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 ボクらは極当然に「国民があって国がある」と考えていると思う。
 だが、権力を持っていると思っている人たちは「国家のもとに国民がある」と考えているらしい。
 「特定秘密保護法案」をよく読むと、国の秘密を守るために、国民の秘密=プライバシーなどお構いなく、隅から隅まで調べ上げ、丸裸にしたうえで、処罰の脅かしで縛り上げるという、正に「弾圧立法」だということが読み取れる。
 「悪法を廃案に!」という澎湃として巻き起こる声に合流しようではないか!
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 TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対会見がありました。テレビなどでおなじみの錚々たるメンバーの集まりです。
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 左から順に、青木理 、大谷昭宏、川村晃司、岸井成格、田原総一朗、田勢康弘、金平茂紀、鳥越俊太郎の各氏です。

 鳥越氏が進行役を務めつつ、みなさんが発言。会場からの質疑もあり、1時間があっという間に思える中味の濃いものでした。
 法案の無気味さ、共感しつつも公然と名を連ねることのできない人たちがおられること、なぜ今起ちあがったのか、近年のマスコミ・特にTV報道の世界の変貌ぶり、etc。
 要約などという野暮なことはしませんが、身を挺して取材・報道に当たっているTVジャーナリストの矜持を感じさせられました。
 このブログをお読みくださるみなさんには、ぜひ全貌を視聴いただきたいと願うものです。
 TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対会見(クリック)

 ボクも、何としても日本を戦争する国に引きずり込む悪法はくい止めたいと決意しています。
 今朝の新聞「朝日歌壇」を読んで驚いた。
 馬場あき子、佐々木幸綱、高野公彦、永田和宏の選者4氏がこぞって選んだ短歌に出会ったからだ。重複して選ばれることは時にあるが、選者全員にこぞって選ばれることは珍しい。

中三の秋がゆっくり深まって無口な人の魅力に気付く                      松田梨子
 選の第一首に選んだ馬場氏は「松田梨子さんももう中三なのだ。『無口な人の魅力』に気付いたのも魅力がある」と評す。
 第二首に選んだ佐々木氏の評は「子ども時代から青年期へ。下句すばらしい」。
 ボクも素直にいい歌だなと思う。淡い恋心が秘められているのかも知れない。それはともかく、「最近の子どもたちはケータイやスマホを使い慣れているので、短い文章が上手だ」という声を聞いたことがある。そうかも知れない。
 上の句に「中三」とあるから、選者もそろって眼をひかれたことだろう。馬場氏が「もう中三なのだ」と書いておられるところを見ると、常連なのかも知れない。いずれにせよ若い人達の登場で、短詩形文学の新しい道が拓かれる可能性を秘めた、いい話だと思う。

 もう一つ、2氏に選ばれた青年の短歌がある。

職業は就活生です新宿のハンバーグ屋で夜行バスを待つ                    安良田梨湖
 第1首に選んだ高野氏の評は「就活の辛さ。これから岡山に帰るのだろう。別の葉書に<『新幹線にせられえ』なんて言うな母よ十か月の就活生に>の歌もある。この歌も良い」というものだ。
 佐々木氏は選んだ10首のうち4首に「会話体の言葉を生かした作が並んだ」と書いておられる。近年の短歌が文語調を離れつつあるのに加え、会話体の導入がが新しい兆しということかも知れない。
 つけても、「職業は就活生」、「十か月の就活生」という言葉に今日の青年の苦悩が見える。少し自嘲の意がこもっているようにも読めて痛々しい。

 ダブってはいないが、安良田さんのもう一つの短歌を永田氏が第一首に選んでおられる。

失恋とおなじだ履歴書返されて気まずい会社が増えるってことは
 永田氏は「安良田さん、返される履歴書に憤慨もするが、失恋に例えられるくらいの余裕があれば大丈夫」と評というより、返信、激励めいた言葉を記されている。
 若者が苦境に耐えつつ短歌を詠む。その姿に共感を寄せつつ、若者たちに明日の短歌界を托したいという、選者のみなさんに共通した思いが読み取れる。

 ボクは短詩形文学としては5・7・5の世界、俳句や川柳が極限に近いと思っているが、歌壇の現況や将来にもしっかりと眼を凝らしていかなければ…と再認識した次第だ。

 
 ここしばらくお会いできていないのだが、永井珪子さんから自選回顧展のご案内を頂いた。
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 80歳になられるという。そうだろう、ボクが30歳になるかならないか、という頃からのおつき合いだ。何度か個展を訪問し、何とも言えぬ感銘を受けた。
 今では、行動美術協会の重鎮と言っても良いのではないか。
 でも、ボクはその道のことは深く知らず、お姉さんともども親しくしていただいていた。よく考えれば過分のおつき合いだ。俗世間のことなど、あまりお構いのない迫力のある生き方をしておられる方たちだと思えた。
 姉、妹、弟さんたち、揃って美術家、芸術家だ。富田林の片田舎、今も農村そのものの風情の一角に暮らしておられる。その環境のもとにこんな斬新な作風の女流画家がおられることに不思議な感慨を覚えた。
 今回はぜひ参上しなければならないと、日程のやりくりを考えている。
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 今回の個展のことは、この爛の二人目のところ(クリック)に詳しい。
  アレンジ落語「じゅげむ」        
                    アレンジ・ちゃ〜ちゃん
                   初演.2013.11.02.旅先にて
 
○おいおい!そんなとこで、正座して一体何をしてんねん。
●いやね、今日は富田林のご一行がお見えやそうで…。
○そやで、長旅ご苦労さんやったなぁ。
●そうでんねん。河内の国から、摂津の国、播州・播磨の国、備前、備中、備後の国を通って、この安芸の国、宮島へきはったんですわ。
○えらい、難しいことを。ちゃ〜ちゃんみたいやな。
●へぇ、わてがちゃ〜ちゃんでんねん。

○ほんで、何をするつもりやねん。
●いやね、折角やから、ちょっと落語のマネでもしてさしあげようと思いましてな。
○ふ〜ん そんなことできるんかいな。
●できまへんけど、筋書きだけはでけておまんねん。ウチのに内緒でつくりましてん。特別秘密でっせ。
○おいおい、ばらしたら懲役かいな。怖いこと言いな。
●練習もしてまへん。ぶっつけ本番で申し訳けおまへんけど。
○ふ〜ん。ほんで外題はなんやねん。
●下剤?そんな、宴席で下剤やなんて。汚いこと言いなはんな。
○下剤やないがな。外題や外題、題名はなんやて言うてるんやがな。
●え〜、日曜の朝にやってるのは「題名のない音楽会」
○そんなえぇもんちゃうやろ、何かテーマみたいなもんがあるやろ。
●はぁ、あの「じゅげむ」たらいう落語がおまっしゃろ。あれにちょっと手ぇかけてつくりましてん。
●言うなら「アレンジ落語。じゅげむ」というところでっかな。
○へぇ〜。あの「じゅげむ」をアレンジしたんかいな。長〜い長〜い、ありがた〜い名前のついた子どもの話やな。こら面白そうや。
○ところであんた。この「じゅげむ」の由来を知ってるんかいな。
●いや、ちっとも知りまへん。
○折角、「じゅげむ」をアレンジしたんやったら、それくらい知っておきなはれ。わてが教えたるさかい、そこへ座んなはれ。
●はっ、ありがとうございます。
☆ 居住まいを正す ☆
○先ずは「寿限無」。「寿限り無し、つまり死ぬ時がないということ」
次は「五劫のすりきれ」。「一劫というのは、三千年に一度、天女が天下って、下界の大きな岩を衣でなでるんやが、その岩をなでつくしてすりきれて無うなってしまうのを一劫という。それが五劫というんやから、何万年、何億年かかぞえつくせん」
●気の遠なるような話でんなぁ。
○それから「海砂利水魚」。「海の砂利も、水にすむ魚もとりつくすことが出来ん」
○まだあるで、「水行末、雲来末、風来末」。「つまり水の行く末、雲の行く末、風の行く末のことや。どれもこれも果てしがない」
○その次が「食う寝るところに住むところ」。「人間、衣食住のうち、どれか1つ欠けても生きていけんやろ」
●ほんまでんな〜。橋下市長やら、松井知事に家賃が安うて、住み心地のえぇ公営住宅たくさんつくれ!って言いとおまんなぁ。
●ほんで次は?
○「やぶらこうじのぶらこうじ」や。「やぶこうじという木があって、まことに丈夫。春は若葉を生じ、夏は花咲き、秋は実を結ぶ。冬は赤き色をそえて霜をしのぐめでた〜い木のことや」
●その後がさっぱり分かりまへんねん。その〜「パイポパイポ」とか言うやつ。
○これは難しいやろな〜。
○「パイポパイポ~」は「昔、唐土にパイポという国があって、シューリンガンという王様とグーリンダイという王女さんのあいだに生まれたのが、ポンポコピーとポンポコナーというふたりのお姫様や。ありがたいことに、おふたりは大層長生きしたんや」
●あぁなるほど…。キンさん、ギンさんみたいなもんでんな。
○そうや。んで最後が「長久命の長助」やな。「天は長く。地は久しという。読んでも書いてもめでたい結構な字や。それをとって長久命。長く助けるという意味で長助もええやろ」
●それにしても厚かましいオヤジとお袋でんなぁ。なんぼ大事なひとり息子やから言うて、坊さんが考えてくれたありがた〜い名前。全部(ぜ〜んぶ)くっつけて一つの 名前にしてしもたんやなぁ。欲どしいこっちゃ。
○まぁ、それはえぇから、一つ聞かしてんか。あんたのつくったアレンジ落語。
●へぇ、長ったらしい名前のわけを、ひとつひとつ丁寧に教えてもろて、迫力がでますわ。
☆ 居住まいを正す ☆
●とざい、と〜ざい!
○これこれ、草相撲やら、田舎芝居とちゃうんやから、東西東西はおまへんやろ。
●あきまへんか。ほな、通り一遍でっけど…。 
●え〜、相変わらずのバカバカしいお笑いを一席。聞いてもろても損はしまへん。得にもなりまへんけど。邪魔にはなりまへんから、ちょっと聞いておくれやす。
☆ 居住まいを正す ☆
●あ〜、今日はオヤジの一周忌や。供養に名付け親の坊さん訪ねて、昔話の一つもしてこうかなぁ。
○おやおや、あんたかいな。今日はお父さんの一周忌や。供養話の一つも聞こうやないか。
●察しのえぇ坊さんで。昔話の一つもさしてもらお、思てきましたんや。
○ふ〜ん。そらきっとあんたの名前にまつわる話やな?
●やっぱり、察しのえぇ坊さんや。わかりましたか?
○そら分かるがな。んで、どんな話や。

●うちのオヤジとお袋さんは、この長〜い、ありがた〜い名前を一生懸命覚えてくれましてな。何日もせんうちにスラスラ言えるようになりまして。
○そら良かった。大丈夫かいな〜て心配してたんや。
●ただねぇ、笑えん話も仰山ありましたんや。ちょっとだけお披露目しまっさ。
○ふん、ふん。

●え〜わてが小学校にあがる前のことですわ。自立させないかん。というわけで朝はちゃんと歯ぁ磨けとわてを呼ぶんですわ。
●「お〜い、
 寿限無(じゅげむ)寿限無、五劫(ごこう)のすりきれ、海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ)、雲来末(うんらいまつ)、風来末(ふうらいまつ)、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命(ちょうきゅうめい)の長助よ、早よ起きて歯ぁ磨きや〜っ」ていうわけでんな。
●そやけど、名前があんまり長すぎて、名前呼び終わって口空けてみたら、虫歯になってた。
○んな、アホな!

●わてが学校に上がりましてな、最初の授業や。今日ははじめてやからというわけで、担任の先生が名前を呼んだら「ハイっ」て元気に手をあげなさいって出席をとりはった。みんな、名前を呼ばれたら元気に返事しよる。
● ****!ハイ! ****!ハイ! ****!あいな!ってな具合でな。
●ほんでわての番になりました。先生、一瞬、目を白黒さしてじ〜っと出席簿にらんでましたなぁ。
●腹決めたんかして、わての名前を呼び始めたんですわ。

「寿限無(じゅげむ)寿限無、五劫(ごこう)のすりきれ、海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ)、雲来末(うんらいまつ)、風来末(ふうらいまつ)、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命(ちょうきゅうめい)の長助」とね。
●もちろん、ハイって元気に返事して、手ぇあげましたんやけど…。
○どないした?
●教室中がし〜んと静まりかえってまんねん。
○なんでや?
●先生が教室見回したら、わての名前呼んでる間にみんな寝てしもた。
 **も寝とる、**ちゃんなんかヨダレ垂らして寝とる。**さんは大鼾かいとった。
●こんなわけで、わての名前呼んだらさっぱり授業になりまへんでした。
○そら困ったことやなぁ。何とかせな!
●そうでんねん。敵もさるもの。3年生の時、担任がうまいこと考えよった。
○こらこら、先生捕まえて「敵もさるもの」はないやろ。んでどないしたんや?
●例によって先生が名前をよびかけたら、早速***やら、**さんらが寝る用意しかけたんやけど…。
○先生は、どう呼んだンや?

「寿限無(じゅげむ)寿限無、五劫(ごこう)のすりきれ、海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ)、雲来末(うんらいまつ)、風来末(ふうらいまつ)、 <中略> 長久命(ちょうきゅうめい)の長助」と呼ばはった。

<中略>! 名前呼ぶのに<中略>かいな。
●誰も寝る間ありまへんでしたなぁ。
あれ以来、わてはみんなに<中略>と呼ばれるようになりましてん。
○まぁ、無理もない話かもねぇ。

●それでも何とか無事6年間を過ごしまして、卒業式がやってきました。あの頃、字があんまり上手でない校長先生は達筆やった役所の**さんに頼んでました。ほんまに上手な人で、市の表彰状なんかは一手に引き受けたはりました。そうです。あの**さんのお父さんです。
☆あのなぁ、今年も卒業証書の名前書いて欲しいんやけど。頼まれてくれるか?
★毎度のことですな。よろしおまっせ。
☆ただなぁ、ひとりだけ手こずりそうなんが居るねん。長〜い名前なんやけどええか?
★ふ〜ん、そんな長いんでっか。わかりました。ちょっと工夫してみまひょ。
☆卒業式に<中略>というわけにもいかんので、宜しゅうたのむわ。
●てなわけで、**さん工夫をしてくれました。さぁ卒業式!わての番!
●校長先生、うやうやしく卒業証書を手に名前を読み始めはった。

「寿限無(じゅげむ)寿限無、五劫(ごこう)のすりきれ、海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ)、雲来末(うんらいまつ)、風来末(ふうらいまつ)、食う寝るところに住むところ、やぶらこ うじのぶらこうじ、<裏に続く>パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命(ちょうきゅうめい)の長助」くん!

<裏に続くう?!!?> ワシはそんな名前つけてへんでぇ!

●わての名前にまつわる泣き笑いの話は仰山おますけど、極めつけは去年のオヤジの臨終のときでしたなぁ。
●お袋がわてに早よ帰ってこい。お父さんがお前に遺言があると言うたはる、てケータイが入りましてん。
●慌てて帰りましたがな。オヤジの枕元にたったら、「もうちょっとこっち寄れ」ハイハイというわけで口元に耳を寄せたら、オヤジがね

「寿限無(じゅげむ)寿限無、五劫(ごこう)のすりきれ、海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ)、雲来末(うんらいまつ)、風来末(ふうらいまつ)、食う寝るところに住むところ、やぶらこ うじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命(ちょうきゅうめい)の長助よ」って言うたなり、後が聞こえへん。

●名前が長すぎて、名前呼んでる間に息が上がってしもたんや。
●肝腎の遺言言わんまに息をひきとってしまいました。
●ホンに罪深い名前ですわ!

○まぁ、泣きないな。分かった分かった。
○ほんなら、あんたにありがた〜い、新しい、名前をつけてあげまひょ。今日を機会に、あんたは「寿限無の長助」と名乗りなはれ、短うても立派にありがた〜い名前や。

☆てなわけで、今日は「寿限無の長助」はんが、その辺に来てはるはずです。
 皆さんのお側に座ってまへんか?
 まだ食べてへん筈のおかず減ってまへんか?
 「寿限無の長助」はんは大食いですよってになぁ。
 よう、お膳の上を見張っておくれやす。

☆減ってても宜しおまんがな。
 消費税大増税でちょろまかされるより、タチよろし!

 お粗末でございました。