38 会計の区分

 基本は一般会計と特別会計

 地方自治法第209条は「普通地方公共団体の会計は、一般会計及び特別会計とする」と定め、同条2項で「特別会計」は、普通地方公共団体が「特定の事業を行なう場合」、「その他特定の歳入をもつて特定の歳出に充て、一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」、「条例でこれを設置することができる」としています。つまり、条例で定められた「特別会計」以外の事務・事業はすべて「一般会計」に計上し、執行しなければならないのです。言いかえれば、一般会計は地方自治体が取り扱う事務・事業の大部分が処理される「中心的な会計」と言えるでしょう。
 「特別会計」には概ね共通の会計と、市町村固有の事情による会計が混在しています。共通するものとしては市町村では、国民健康保険事業や介護保険事業などがあります。一方、「府営印刷所」、「関空関連」、「箕面北部丘陵整備」(以上、大阪府)」、「自動車運送(高槻市)、「宅地造成(泉佐野市)」、「と畜場(羽曳野市・貝塚市)」、「索道(ロープウェイ・千早赤阪村)」など、独自色の強い特別会計もあります。
 上水道や下水道事業、病院事業なども特別会計の一つに数えられますが、地方公営企業法の規定をうけ、「独立採算制」を「原則」とされるため、「企業会計」として別個に扱われることも多いようです。
 大阪市の「特別会計条例」を見ると、20の「特別会計」が並列・列挙されていますが、決算上は「食肉市場会計」など11会計が「政令等特別会計」、市民病院や下水道事業など4会計が「準公営企業会計」、自動車運送事業や高速鉄道事業など4会計が「公営企業会計」に分類されています。
 企業会計では、一般会計の予算・決算書とよく似た「説明書」もつけられますが、基本は一般の企業と同じく「損益計算書」や「貸借対照表」を中心にした「財務諸表」で明示されます。
 近年、赤字の累積等が大問題となってきた自治体の出資する特別法人や株式会社(第三セクター)の多くは、この一般会計や特別会計という自治体財政の基本的な枠組の外におかれ、議会や住民のチェックを遠ざける不透明な由々しき存在だったのです。