40地方債

 年度間の収支や世代間の負担を調整

 「一時借入金」は一会計年度内の現金不足を補うための一時的な借入金であり、会計年度をこえる借り入れ、いわば「長期借入金」にあたるのが「地方債」です。
 地方自治法には「予算の定めるところにより、地方債を起こすこと(起債)ができ」、「起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還(返済)の方法を定めなければならない」とあります。
 地方債の基本は「地方財政法」に定められています。その大前提は「地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもって、その財源としなければならない」ということです。しかし、取り扱われる事務・事業の中には財政上の収入、支出の年度間調整や住民負担の世代間の公平を確保する調整が必要な事業もあります。また、どうしても一般財源の補完が必要である場合や国の経済政策との調整が必要なこともあります。
 そこで、以下のような事業に限って起債を起こせることになっています。交通・ガス・水道事業の経費。出資金及び貸付金。地方債の借換え。災害応急・災害復旧・災害援助の事業。学校その他の文教施設・保育所その他の厚生施設・消防施設・道路・河川・港湾その他の土木施設等の公共又は公用施設の建設事業。公共用もしくは公用に供する土地又はその代替地として購入する土地の購入費。
 この他に特例として「辺地債」、「過疎対策事業債」、「臨時財政対策債」、「退職手当債」があります。
 「臨時財政対策債」は、国の「地方交付税特別会計」の財源が不足した場合、地方への交付額を減らし、その穴埋めに「地方債」を発行させる制度で、償還に要する費用は後年度に地方交付税で「措置」する建前です。これはもともと景気・消費の変動によって地方交付税の原資が大きく変動し、交付税総額が短期間に大きく減少する可能性がある場合に、国が国債を発行して「交付税特別会計」の資金を借り入れ、補填してきたものです。制度の変更によって国債の発行は抑制されましたが、地方債残高は急増しました。
 「退職手当債」は「団塊の世代」の大量退職による資金繰りのため、06年度から15年度までの特別措置で、職員数の現況・将来の見通しを定めた「計画」の作成が義務づけられる「許可制」の起債です。