46 契約

 一般競争入札が原則

 公共事業にともなう談合や贈賄・収賄事件の報道が絶えません。そこで今回は地方公共団体が行う「契約」についてどのような規定があるのか考えてみましょう。
 地方自治法第2編第9章「財務」の第6節に「契約」の項があります。本文は第234条「契約の締結」、同234条の2「契約の履行」、同条の3「長期継続契約」と、とても短く、シンプルです。しかし、文中には「政令に定めるところにより」などと「政令」に委ねている部分がとても多く、その「政令」をみても都道府県・市町村の「財務規則」等に譲る部分がかなりあります。したがって、個別の「契約」の実態、適否を点検・検証することは容易ではありませんが、「契約」にまつわる基本中の基本はしっかり押さえておきたいものです。
 地方自治法は「売買、貸借、請負、その他(保管、運送など)の契約」について「一般競争入札」が原則であることを明確にしています。
 法は「指名競争入札、随意契約、又はせり売り」も認めていますが、それは「政令で定める場合に限り」と限定しています。
 いずれの場合もそれぞれの団体にとって「最も有利な条件を提供する者との契約」が大前提です。当たり前のことですが、売るとき・貸すときは「一番高く」、買うとき・借りるときは「一番安く」ということです。
 「一般競争入札」とはそれぞれの団体が「公告」をして「不特定多数」つまり基本的には「誰でも」参加できる方法で入札させること、「指名競争入札」とはあらかじめ「入札者を指名」して「特定多数」つまり「限定された複数の者」によって入札させることであり、あわせて「競争入札」と言われます。市町村の入札・契約の実態を見ると「一般競争入札」が建前にされ、「指名競争入札」が大半をしめており、ここが「談合」や「利権あさり」の温床になっていると言えるでしょう。
 「随意契約」とは、「任意に相手方を選択して締約する契約方法」ですが、政令によって価格の上限をはじめ、厳密に要件が定められています。
 「せり売り」とは「入札の方法によらず口頭(挙動)で価格の競争をさせる」とあります。法律用語に「口頭(挙動)」などという言葉がでてくるなんて、面白いですね。