古墳は語る!石部正志先生の著書を読む


b0142158_21345078.jpg 先生がどう思ってくださっているか承知しませんがボクにとっては身近な先生です。
 読まねば、読まねば…と思いながら少し日がたってしまいました。この数日、通勤の行き帰りにむさぼるように読みながら、今日やっと読了にいたりました。
 う〜ん!と唸ってしまいます。先生の学問研究に対する真摯さと確固性に、ある種の感銘を受けます。
 「本書は未定稿なのですが、古墳に関して、必要なことはだいたい書けたと思っています」と「はじめに」のところにありますが、一好事家にすぎないボクには目を見張るような記述の連続でした。
 この一文では到底書き表せるものではありませんが、石部先生は先ず「古墳とは何か」、古墳は豪族だけの墓ではない、弥生時代にも一般民の家族墓はあったと説き起こします。
 そして、全国津図浦々の古墳という古墳をたくさんの図版とともにていねいに解明されてゆきます。
 ボクは遠方の古墳は吉野ヶ里をはじめ九州の数カ所、山陰、東北などホンの僅かしか知りませんが、何せ百舌鳥・古市古墳群のど真ん中に暮らし、奈良の周辺もちょこちょこ出かけるわけですから、身近さもこの上なしです。で、分かっていたようで分かっていなかったことに次々と気づかされる面白さがありました。
 先生の卓見というか、目を開かされるのは原始社会の末期、「首長制」社会という段階について「しかし、なお、この段階では、日本は階級社会に突入したとまでは言えず、従って『国家』も未成立だったと見なければなりません。首長=王が、まだ所属集団(共同体)のリーダーであり、その集団の利益代表にとどまっている限り、そのような社会は、依然として原始共同体社会であって、階級社会とは言えない、『国家』以前の段階なのです」というくだりでした。「『国家』とは、人と人との対立が、どうにも和解できない敵対関係に陥った時点で、こうした状態をなくすために生み出される暴力装置です」と明快です。
 これ以上、詳細にのべるいとまはなさそうですが、古墳の成り立ちを丁寧に総括して「7世紀ほぼ一杯を費やして、ようやく日本が古代文明の段階まで到達できたのは、それへの始動期とも言える古墳時代前期・中期・後期約400年の歴史があったからです。この期間は、弥生時代以前のような無階級社会ではなく、少数者が多数者を搾取し、支配する不平等な社会に移行してはいましたが、都市はまだなく、文字の使用も限られており、成文法はありませんでした」と初期国家の形成を特徴づけられて締めくくられています。
 とても納得できる結びでした。
 興味、関心のある方にはお勧めです。
by itya-tyan | 2013-02-18 22:37 | あっち読みこっち読み | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : https://isao3264.exblog.jp/tb/20024188
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by omachi at 2019-03-18 19:51 x
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。
Commented by itya-tyan at 2019-03-27 15:27
> omachiさん
投稿ありがとうございました!先ほどまで気付かず、失礼してしまいました!懲りずにヨロシク!
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。