朝日歌壇と産経抄のこと
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ボクは表現者でもある選者各位が、特定秘密保護法の今後に強い警戒心をもって選ばれたものと解釈、共感を覚えました。もちろん詠まれたご本人たちの意図もよくわかります。
このような短歌を詠まれた方々、選者、掲載紙に拍手を贈りたい気持です。でも、それだけではここにわざわざアップしようとは思わず、プリントしてカバンにしまっていました。
ところが(例によってというべきか?)、産経新聞がコラム「産経抄」(2月5日)で、見苦しいケチをつけているではありませんか。
書き出しには「櫻井よしこさんが3日付の本紙コラム『美しき勁(つよ)き国へ』で朝日新聞の報道姿勢を明快に批判している。安倍政権の集団的自衛権行使容認、靖国神社参拝などを非難し続けることに対し、中国の軍拡など現実を見ない『観念論』だというのである」とあります。
そもそも櫻井よしこ氏を引き合いに出して「美しき勁(つよ)き国」というそれ自体が、とてもきな臭い話であるが、返す刀で「朝日歌壇」の掲載首をなで切りにしているのです。
コラムは「子供までが『アンポハンタイ』と呪文のように叫んでいた昭和35年の夏が思い出されてならない。まさに『観念論』の世界であった」と結んでいます。
国民的運動であった安保条約に反対する運動を「観念論」とこき下ろす真意は、沖縄への米軍基地の固定化、集団的自衛権の制限解除、憲法改悪の道を阻み、日本を再び戦争する国にさせまいとする願いと運動を「観念論」と嘲笑うものにほかなりません。
しかも、その刃(やいば)が「歌壇」にまで向けられていることは大きな驚きです。なぜなら「大政翼賛会」や「○○報国会」が「欲しがりません勝つまでは」「贅沢は敵だ」etcと、巷の市民の言動にまでことごとく口を出し、戦争推進と国民抑圧のお先棒を担いだ、その尖兵の姿を思い出すからです。
「産経抄」の論難は、特定秘密保護法の発効が歌壇はおろか俳壇、柳壇、はては文壇全般、文化・芸術、世相・風俗の世界にまで、干渉の刃を向けてくる可能性を如実に示しているではないでしょうか。
今が大事な時だと思わずにはいられません。